鹿ヶ谷を経た池袋にて平成十九年の晩秋、「http://secretservice.blog.shinobi.jp/」のプレゼントより開局中。
モモはまるで、はかり知れないほど宝のつまったほら穴にとじこめられているような気がしました。しかもその財産はどんどんふえつづけ、いまにも彼女は息ができなくなりそうなのです。出口はありません! だれも助けに入ってくることはできず、じぶんが中にいることを外に知らせるすべもありません。それほど深く、彼女は時間の山にうずもれてしまったのです。
ときには、あの音楽を聞かず、あの色を見なければよかったと思うことさえありました。それでも、もしこの記憶を消しさってしまおうと言われたとしたら、彼女はどんな代償をもらおうと、やはりいやだとこたえたことでしょう。たとえその記憶の重みにおしひしがれて、死ななければならないとしてもです。なぜなら、今彼女が身をもって知ったこと──それは、もしほかの人がわかちあえるのでなければ、それを持っているがために破滅してしまうような、そういう富があるということだからです。──
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